記念講演

テーマ「分かちあう心の進化」
講 師松沢 哲郎(京都大学高等研究院特別教授・京都大学霊長類研究所兼任教授)

チンパンジーと人間を比較することで、人間の本性を考えてきた。チンパンジーには優れた写像的記憶がある。一瞬見た画面のどこにどの数字があるかわかる。人間はそうしたことはできないが、見たものの意味を理解し、その情報や体験をことばによって仲間と共有する。想像するちからを駆使して、相手の心を理解する。互いに思いやる、分かちあう、慈しむ、それが人間の人間らしい心の働きだと理解した。人間の心がどのように進化してきたのかをお話したい。

プロフィール

松沢 哲郎(まつざわ てつろう)
理学博士。1950年、愛媛県松山市生まれ。1974年、京都大学文学部哲学科卒業。1977年11月から「アイ・プロジェクト」とよばれるチンパンジーの心の研究を始め、野生チンパンジーの生態調査も行う。チンパンジーの研究を通じて人間の心や行動の進化的起源を探り、「比較認知科学」とよばれる新しい研究領域を開拓した。2016年3月に京都大学霊長類研究所を退職、同年4月、京都大学高等研究院特別教授に就任。
著書に『想像するちから』(岩波書店2011年、第65回毎日出版文化賞受賞、科学ジャーナリスト賞2011受賞)など多数。 2004年紫綬褒章受章、2013年に文化功労者。